芸能リポーターが異口同音「夢にも思わなかった」

――どうしてジャニーズ問題にメスを入れようと思ったのですか?

 当時、ジャニーズの性加害の問題が報じられていて。私は仕事の半分は情報報道番組だったんですけど、残りの半分はバラエティだったんですよ。だから、芸能の世界には入ってないんだけど、その人たちと一緒に仕事をしてたんです。
 BBC(英国放送協会)がジャニーズの報道をしたときに、一緒にずっと仕事をしてきた芸能レポーターの皆さんが異口同音にこう言ったんですね。
「え~私たち、噂では聞いてたんですけど、まさかこんなことが起こってるとは夢にも思わなかったんですよ~」
 私はそれをテレビで見ていて、ブチ切れたんです。嘘をつくんじゃね~ぞ、てめえらって。私でさえ、かなりの部分、9割以上は知ってたわけですよ。何が行われてるか? 彼らは本業だから知らないはずがないわ。
 で、あったまにきて、3つのタブー、このジャニーズの性加害とザイム真理教と日本航空 123便について書いた。でも、がん告知の前は、結論の部分まで書き終わっていなかったんです。

 だから余命4か月って言われて、殺されるのも怖くなくなって、こうなったら本当のこと全部言って全部書いてから死ぬぞって思ったのか、3番目のチェンジですね。

人生における3つのチェンジについて、理路整然と語ってくれた森永氏。その転機の際、アクセルを踏み込む要因はそれぞれあったとはいえ、そもそも、そういった素養、その長いものに巻かれない精神は、若いときから育まれていたのではないだろうか。

もりなが・たくろうプロフィール
1957年、東京都生まれ。経済アナリスト、獨協大学経済学部教授。1980年に東京大学経済学部を卒業後、日本専売公社(現在のJT)に入社。その後、日本経済センター、経済企画庁、三和総合研究所などを経て、2006年から獨協大学経済学部教授に。昨年、財務省の暗部に斬り込んだ『ザイム真理教』(三五館シンシャ)がベストセラーに。今年3月には日本の3大タブーとされるジャニーズ事務所の性加害、財務省の財政緊縮主義、日本航空123便の墜落事故について迫った書籍『書いてはいけない』(三五館シンシャ)が14万部を超えるベストセラーとなっている。2023年12月、ステージ4のがん告知を受ける。