バラエティ出演で経験した「THE CHANGE」
阪急電車が通ると一礼、先輩からは一対一での生活指導……。その校風の厳しさから“東の東大、西の宝塚”との異名まで持つ宝塚音楽学校。そんな学生生活を“こういうものなのかな”ですませるのだから、その胆力には恐れ入る。その点を尋ねると、
「そんなことはないですよ。同期の中でも年下だし、みんながちやほやしてくれたから。どこか末っ子気質が抜けない気もします……」
音楽学校時代は洗濯物も年上の同期や、同期の親がやってくれたため、洗濯機にすら触ったことがなかったという。そんな紫吹さんは01年7月に月組トップスターに就任。トップ男役としてブロードウェイ・ミュージカルの「ガイズ&ドールズ」や「花の宝塚風土記/シニョール ドン・ファン」などで主演し、04年3月をもって宝塚歌劇団を退団。すると、彼女にある「CHANGE」がおとずれる。
「バラエティー番組に出演させられたの。それも騙されて……。本当は出たくなかったんですよ。それが“ちょっと話だけでも”と言われまして、テレビ局に行きました。すると、もう出演するということで話が進んでいるんです」
蝶よ花よと愛でられて育った宝塚時代から一転、お笑い芸人が跋扈するブラウン管の中でスポットライトを浴びることとなる。バラエティー番組と宝塚。舞台は違えど、同じショービジネスの世界でトップを張った人間として背を向けて逃げるわけにはいかない。
「出演したくなかったですよ。だって、宝塚で男役を演じてきて、世間の人は“男前”な紫吹淳しか知らないわけ。それなのに、なんで“コンビニに行ったことがない”とか明かさないといけないのって。わざわざ、マイナスな面を見せる必要はないんじゃないかなと思っていました」