宝塚歌劇団の月組トップスターを務めた紫吹淳。宝塚時代はダンスの名手として知られ、ミステリアスで個性的な男役としてファンを魅了した。だが、「掃除機をかけたことがない、料理をしたことがない」と、浮世離れした生活をバラエティ番組でツッコまれたことをきっかけに存在を知ったという方も多いだろう。長年、舞台人として活躍し続ける紫吹さんの「転機」――「THE CHANGE」について伺った。【第2回/全4回】
幼少期から通ったバレエ教室の先生のすすめに従い、宝塚音楽学校を受験した紫吹淳さん。15歳〜18歳の女学生が受験する難関試験を軽々とくぐり抜け、入団後は順調にスター街道を駆け上がり、2001年7月には月組トップスターへと就任した。そんな紫吹さんだが、宝塚音楽学校時代は15歳で入学したため、同期の中でも一番の年下。そんな彼女にはあるコンプレックスがあるんだとか。
「当時は、周りから見たら年下で可愛いものだから“お洗濯物があったら持っていらっしゃい”なんて優しく年上の同期が声を掛けてくれました。だから、自分で洗濯機を触ったこともありません」
校風の厳しさから“女士官学校”とまで呼ばれる宝塚音楽学校。そんな環境で紫吹さんは末っ子娘として大事に育てられていたわけだ。
「宝塚を辞めて、バラエティー番組に出させてもらうようになるまでは、料理も買い物もしたことがありません。だって私、月組のトップスターですよ。宝塚のトップって“舞台で踊るのが仕事でしょ!”って思っていましたので」
その浮世離れした姿がテレビで大ウケ。宝塚時代の仲間に真顔で“お洗濯したことないよね?”と尋ねても、誰もそれに同意しなかったことにはショックを受けたという 。そんな紫吹さんだが、2019年末から猛威をふるったコロナウイルスの影響で自身の生活にもある「CHANGE」が起こる。