宝塚歌劇団の月組トップスターを務めた紫吹淳。宝塚時代はダンスの名手として知られ、ミステリアスで個性的な男役としてファンを魅了した。だが、「掃除機をかけたことがない、料理をしたことがない」と、浮世離れした生活をバラエティ番組でツッコまれたことをきっかけに存在を知ったという方も多いだろう。長年、舞台人として活躍し続ける紫吹さんの「転機」――「THE CHANGE」について伺った。【第4回/全4回】

紫吹淳 撮影/冨田望

 宝塚音楽学校を受験する前は、バレリーナを目指していた紫吹淳さん。3歳からバレエ教室に通っていたのだが、ほかにもバレリーナに憧れた理由があった。

「『SWAN』(集英社)っていうマンガがあったんですよ。それにはすごく影響を受けました。高校も受験して受かってたんです。バレリーナになりたかったから、行きたくはなかったんですけど……バレエを断念しなきゃいけない状況になった時に、じゃあ将来何になるの?っていったら、高校を卒業後は就職かな、と考えたりとか。

 そんな時にバレエの先生に夢を託されたというか、“厳しいところだから難しいかもしれないけど、宝塚というところが合っていると思うから一度受けてみたら”とすすめられ、“そんなに言ってくださるなら受けます”と、バレエのコンクールに出るノリで受けたら運よく受かってしまって」

「運よく受かってしまって」と謙遜する紫吹さんだが、恩師の夢が教え子である紫吹さんによって叶えられたということだ。身長170センチ、すらりとした手足とスタイル抜群の紫吹さんは宝塚歌劇団では男役として活躍することになったのだが、人知れず苦労もあったようだ。