紫吹さんは舞台上と素顔のギャップが大きい

「個性的すぎるでしょ?」と宝塚時代を振り返る紫吹さんは気品あふれるたおやかな印象で、取材陣にも穏やかにほほ笑んでいる。舞台上の紫吹さんと素の紫吹さんのギャップについて、「宝塚時代からすごく言われました」と語る。

「コロナで今はどうなったかわからないんですが、ファンの方が楽屋の出待ちをしてくださって。そのときにやっぱり、客席で夢を見て、どんな人が出てくるかドキドキして、胸を躍らせて待ってくださるんですけど、出てくるのはこんな感じなので……だから、“あのー、舞台の人と会いたいんですけど”ってことはよく言われて。

 舞台の人は客席に座って見てください、と。私はライトとかお衣装とか、そういう力を借りないと男役というものはできなかったですね。完全な作り物ですね」

 そう話す紫吹さんだが、退団しても紫吹さんのオンリーワンの魅力に惹かれたファンの方々がたくさんいるようだ。

「私の“舞台は舞台、オフはオフ”って。認めてくれた方たちがずっと応援してくださってて。ふつうは宝塚をやめるときって、男役から女優になっちゃうからドッとファンを辞めるんです。でも私の場合現役中からそうだったので、それはなかったですね。当時も今も、舞台では別人を見せますけど、普段はこのままですよっていうのは変わらないので」

 そして、退団後の芸能活動の大きな転機――「THE CHANGE」となったバラエティ番組への出演についても「バラエティに出てなかったら、私のことはたぶん知らないと思いますよ。宝塚のトップスターもいっぱいいますし、宝塚が好きな方は知ってると思うけど、知らない人は知らないですよね」と全く気取らない。

「私、紫吹淳のTHE CHANGEは“ピンチをチャンスに変える瞬間”です」と語る紫吹さん。どんな変化を経験しても、それを糧とした紫吹さんはそのたびに新しい景色を見せてくれることだろう。

■紫吹淳(しぶき・じゅん)
 1968年、11月19日生。群馬県出身。86年に72期生として宝塚歌劇団に入団、01年に月組トップスターに就任。04年3月に退団後は女優として活動を開始。主な出演作に『王様と私』『グッバイガール』『THEBOY FROM OZ』『細雪』など。23年にはBSーTBSのドラマ『ママはバーテンダー~今宵も踊ろう~』でドラマ初主演。6月9日、10日にはコットンクラブで3回目となる『JUN SHIBUKI Music Voyage 2023 in LONDON』を開催予定。

■『JUN SHIBUKI Music Voyage 2023 in LONDON』
 6月9日(金)/6月10日(土)東京・丸の内 コットンクラブにて開催
出演者:紫吹淳 (vo)/栗山梢 (p)/伊東達也 (b)/小野裕市 (ds)/塩崎容正 (g,key)/白鳥春日 (cho)/青木梨乃 (cho)