紫吹さんが作り上げた男役像とは?

紫吹淳 撮影/冨田望

「宝塚の男役って面長なタイプの方が多いんですが、私はどちらかというと丸顔というか女役みたいな顔なので。初舞台を踏んだ時から“キューピーちゃんみたいな男役がいる”ってお客さまに言われて、なんかこういろいろ試行錯誤の上に、ああいう男役像ができあがったかなっていう作り物ですね」

「男役・紫吹淳」は濃厚で男らしさが溢れるイメージでファンを魅了。究極のプレイボーイや百戦錬磨のギャンブラーなど、とびっきりキザな役が似合う唯一無二なダンスの名手として知られた存在だ。特に、ほかのタカラジェンヌたちと全くかぶることがない斬新な髪型、ファッションセンスなどは今でも比類すべきスターはいない。

「やっぱり同じ人間がいろんな作品を主演でやるじゃないですか。舞台となる国が違うとか、コスチュームものだったりするとガラッと変わりますけど、スーツものが続いちゃったりとかする時に、そんなにパッと見のビジュアルが変わらない。

 なんかこう、いい意味でファンの方を裏切り続けたいなっていうのが自分の中であったんです。上演予定作品が先に発表されて、そのあとでビジュアルが発表されるじゃないですか。その想像をいい意味で裏切りたいな、って。あと“同じ人に見えない”っていう言葉が、何よりもすごい好きで、そう見せたいみたいなのがすごくありました。でも自分でも、過去の姿を見ると“変わってる”と思う(笑)。でもその時はそうしたかったんですよね」