がむしゃらに仕事だけをやってきた10年

 そんな中村さんもプライベートでは現在36歳。30代の前半と後半での違い(変化)はあるのだろうか。

「仕事の面で言うと、やっぱり30代後半になってからは、よりひとつひとつと向き合って取り組むようになりましたね。役についても深く考えるようになったといいますか、ちょっとイメージに無いものをやりたいなって思うようになってきたと思います。
 俳優の仕事を始めたころは秘書とか、きらびやかな感じだったりとか、髪をかき上げるのを武器にするような役が多かったといいますか、今回の『約束』みたいなトーンの作品にはこれまで出会わなかったので、少しずつ役の幅が広がってきているなと思います」

 一人の女性という部分では?

「段々とお仕事が楽しくなってきて、あっという間に36歳になっていた……というのが正直なところなんです。ひたすら、目の前の仕事をしていると、年齢をつい忘れちゃう(笑)。だから、女性的なところで言うと、やっぱり40歳が近づいているので、いろいろと考えることは増えました。
 でも、それは自分が考えたところで、思うようにいかないことが多いので、時に身を任せています(笑)。25歳ぐらいから、本当にがむしゃらに仕事だけをやってきたので、あんまり振り返る時間が無かったんです。ただひたすら山を登っている感じだったんですけど、本格的にお芝居にチャレンジするようになってからは、自分と向き合う時間が増えてきたので、いまの方が結構、振り返ったり、立ち止まったり、考えたり、悩んだり……ということが多くなりました」

 以前、女性ファッション誌で「35歳になったら、急に大人の気分になった」と話していたが……。

「やっぱり演じる役は年齢に応じるところも多いですし、年齢と共に経験値も上がってきて、演じられる役柄も増えてきた気がします」

 今後、変わっていくとしたら、どんな風に変わっていきたいか。

「いま現在がやっとスタート地点に立てたって感じがするんです。やっとやりたいことが出来るようになってきたと実感するんです」

 昨年は舞台『笑ってもいい家』で初めての舞台を経験した。

「ドラマや映画と違って、編集も無く本番だけで、それも大勢のお客さんの前でお芝居をするという経験を積んで、少しずつですが力になることをやれているなって感じます。
 そもそも、俳優という仕事が正解が無いというか、具体的な順位とかもないし、可視化出来るものでもないので結果が良かったのか良くなかったのかもよく判らないんですけど、闇雲のなかで少しずつ、自分の力をつけながら前に進んでいけたらいいなって思っています」

 中村アンはいまも、日進月歩中なのである。

中村アン(なかむら・あん)
1987年9月17日、東京都生まれ。多くの女性ファッション誌でのモデルを経て、2015年に放映されたドラマ『5→9~私に恋したお坊さん~』で本格的に俳優業を始める。近年ではドラマ『グランメゾン東京』、『DCU~手錠を持ったダイバー~』などの話題作に出演。

【番組情報】
『約束 ~16年目の真実~』
毎週木曜日、夜11:59~0:54
読売テレビ・日本テレビ系全国ネットにて放映中
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