キャリアの転機となった作品『凍てついた明日 ボニー&クライド』

――ところで、凰稀さんのキャリアの中でも大きな転機となった瞬間、CHANGEのときを挙げるとするといつになりますか?

「転機というか、芝居が好きになったきっかけ、作品があります。雪組にいたときなんですが、『凍てついた明日 ボニー&クライド』という荻田浩一先生の作品です。その作品で、なにかしっくりきたというか、腹の底の感覚がつかめた瞬間があったんです」

『凍てついた明日 ボニー&クライド』は実在の犯罪者であるボニーとクライドをモチーフにしたアメリカ映画『俺たちに明日はない』をベースに、宝塚歌劇団で上演されたミュージカル作品で、98年と08年に上演されている。08年、凰稀さんはこの作品で2度目となる、宝塚バウホール主演を務めた。

――腹の底の感覚ですか?

「腹に落ちてる感覚というのかな。なにかストーンって落っこちたんですよ。力が抜けた感じが一瞬あった。男役って肉付けをどんどんしていくんですけど、新人公演を卒業したら、今度は肉を剥がしていく作業に入っていくんです。その肉付けの土台がガツっとハマったのを感じたんです。芝居の楽しさを知ったきっかけはいっぱいあるんですけど、大きく変わった最初のきっかけはその時でした」

 そうした瞬間をつかんだからこそ、いまの凰稀さんに繋がっていったのだ。

凰稀かなめ 撮影/冨田望

■おうき・かなめ
9月4日生まれ、神奈川県川崎市出身。元宝塚歌劇団宙組トップスター。1998年に宝塚音楽学校に入学し、2000年宝塚歌劇団に86期生として入団。花組『源氏物語 あさきゆめみし/ザ・ビューティーズ!』で初舞台を踏み、雪組に配属される。2005年に新人公演初主演。翌年、バウホール公演初主演。09年に星組へと組替え。2011年宙組に組替えし、翌年宙組6代目トップスターに就任。2015年2月に退団し、以降は舞台、ドラマ、映画とジャンルを問わずに活躍。2018年、舞台『さよなら、チャーリー』にて文化庁芸術祭賞演劇部門新人賞を受賞。退団後の主な作品にドラマ『ノーサイド・ゲーム』、映画『マスカレード・ナイト』、『お終活 再春!人生ラプソディ』が公開中。NHK大河ドラマ『光る君へ』で赤染衛門を演じる。

ブラウス 71,500円(税込)、ジャケット132,000円(税込)、スカート83,600円(税込)、全てLANVIN COLLECTION
問い合わせ先:153-0042 東京都目黒区青葉台3-6-28住友不動産青葉台タワー2F (株)レリアン/0120-370-877

映画『お終活 再春!人生ラプソディ』
脚本・監督:香月秀之
挿入歌:「愛の讃歌」 歌:高畑淳子
出演:高畑淳子/剛力彩芽 松下由樹 水野勝 西村まさ彦石橋蓮司 藤原紀香(友情出演) 大村崑 凰稀かなめ/長塚京三/橋爪功
(C) 2024年「お終活 再春!」製作委員会
配給:イオンエンターテイメント
5月31日より全国公開