二人の孫の存在が役に立った
この映画では娘とのやりとりの他に、娘が救った記憶を無くした男の子とのやり取りもキーとなる。
「僕にも9歳と6歳の女の子の孫がいるんだけど、普段は彼女たちと同じ目線での付き合い方、接し方をしているんだよね。だから、カミさんにも“ほんとにあなたは子供ね。もっと大人になって接したら”って、ちょっとあきれられてる感じなんです(笑)。どうしても子供になっちゃうんですよ。だから、この二人の孫の存在がほんとに役に立った。二人のことを思い出して、それから生じる”芝居じゃない芝居“っていうのをいつも心掛けていたから、特別に芝居については事程左様に考える必要がなかった。出演した男の子(中須くん)を受け入れて、自分も彼にぶつければ良いんだって思っていたんです」
劇中で工房に覗きに来た男の子に対して説明するくだりは、奥田瑛二イコール孝蔵として成立しているから普通に接していた。
「子供って、こちらが色々と考えて接すると、却ってそれは心で接していないということを見抜いちゃう。休憩中に控室にいると木製のおもちゃとか持ってきてくれたことがあったけど、彼の目には僕が奥田瑛二というより孝蔵として映っていたんだろうね」
奥田瑛二(おくだ・えいじ)
1950年3月18日、愛知県生まれ。1979年、『もっとしなやかに もっとしたたかに』で映画初主演。『海と毒薬』(86年)で毎日映画コンクール男優主演賞、『千利休 本覺坊遺文』(89年)で日本アカデミー主演男優賞、『棒の哀しみ』(94年)でキネマ旬報主演男優賞などを受賞。2001年、映画『少女~an adolescent』で映画監督デビュー。長編3作目となる『長い散歩』(06年)では第30回モントリオール世界映画祭グランプリ等三冠を受賞するなど、多岐にわたり活躍している。
●作品情報
映画『かくしごと』
出演:杏、中須翔真、佐津川愛美、酒向芳、安藤政信/奥田瑛二
脚本・監督:関根光才
原作:北國浩二『嘘』(PHP文芸文庫刊)
配給:ハピネットファントム・スタジオ
🄫2024「かくしごと」製作委員会
https://happinet-phantom.com/kakushigoto/index.html
6月7日㈮よりTOHOシネマズ日比谷、テアトル新宿 ほか全国ロードショー