今春で芸歴27年目を迎えたトータルテンボス。「ハンパねぇ」「しのびねぇな」「かまわんよ」等々、彼らの漫才でおなじみのフレーズは、リアルタイムでそのブレイクを観ていた世代であれば現在でもつい口をついて出てくるほど強いインパクトを残した。現在は、地元・静岡でのレギュラー番組やコンビでのYouTubeチャンネル、麻雀や野球、ゴルフなどそれぞれの趣味を活かした番組出演と、マイペースに多方面で活躍している。さらに去年はYouTubeチャンネル「佐久間宣行のNOBROCK TV」のドッキリ動画が1500万回再生の大バズり。あらためてそのスキルを見せつける格好となった。50歳を目前に控えた今振り返る、若手時代の「THE CHANGE」とは――。【第1回/全5回】

トータルテンボス 撮影/尾藤能暢

 

 インタビュー開始前、テーブルを挟んで2人がスマホの画面を見せ合いながら談笑している。結成27年、48歳と49歳の同級生コンビの姿はYouTubeチャンネル「トータルテンボスのSUSHI★BOYS」で見せる仲の良さそのままに、いまだに友達同士であることを示していた。

 トータルテンボスの芸人人生の前半生は、賞レースでの好成績を中心に語られる。『M-1グランプリ』(ABC系)では3度の決勝進出、『爆笑オンエアバトル』(NHK)では番組史上初の3連覇と、華々しい結果を残しているのだから当然だ。だが、そのスタートは決して順風満帆なものではなかった。「初めて『オンバト』に挑戦したときは全っ然ウケなかったよな」と、トレードマークだったアフロヘアーから長髪に変わった藤田が言えば、大村も「“思ったより”だった」と同意する。

 当時の『オンバト』ではめぼしい若手がまずは前説に呼ばれ、そこで結果を残せると本番に出場できるという流れがあった。「“『オンバト』の前説に出させてください”って、吉本の社内でけっこうゴリゴリお願いしてました」(大村)と回想する。

大村「それで出させてもらったら無難に笑いが取れたんで、“じゃあ挑戦してみるか”ということになって。藤田と“ようやく来たな”って話してました」

藤田「“やったな”って。一発でオンエアになる自信満々でしたね」

大村「オーバー500KBで華々しくデビューじゃね!? って思ってました」