映画は私と伊澤さんの“生”に近いリアルな会話だらけ
――ムカついたことを思い出せば、泣かないと?
「その意図は分からないんですけどね(笑)。しかも、イラッとすることなんて、すぐには出てこないんですよね。
私生活でイライラすることも少ないし……で、結局、1作目の映画のシーンで、嫌なことをされる場面があったことを思い出して、本番に挑みました」
――確か、あのシーンでは泣いていましたよね?
「現場では気づかなかったです。私はただイラッとしたことを思い浮かべていたのですが……試写を見たら、やっぱり私、泣いていたんだって」
――そういう裏話を聞いたうえで、もう一度あのシーンを見たくなりました。“ちさと”と“まひろ”がテントの中で、インスタント麺を食べる場面も好きでした。
「私もあのシーンはすごく好きで。あそこの会話はもちろん台本があるんですけど、その場の2人の空気感で勝手に出てきた言葉も多いんですね。なんというか、これまでずっと共に戦ってきた、私と伊澤さんの“生”に近いリアルな会話なんですよね」
――だから、何げないシーンなのに、心に残るのかもしれません。
「伊澤さんとのシーンでは、あまり詳しく言うとネタバレになってしまうのですが。居酒屋でケーキを食べるシーンがあって……。
――ありましたね。殺し屋の2人が、いわば“」通の女の子”に戻って、はしゃぐ、ほのぼのとしたシーン。
「はい。あそこはほとんどアドリブだったんですけど、なかなかカットがかからなかったんです。そしたら、伊澤さんが急に“私、やりたいことがあるの”といって、フォークも使わず、ケーキにかぶりついたんです。いくらアドリブとはいえ豪快すぎて(笑)。
隣で見ていた私も“じゃあ、私も!”ってノリで、そのままケーキに顔をうずめました」
――アハハ。まさにあれこそ『ベイビーわるきゅーれ』ならではの、グダグダぶり。
(つづく)
髙石あかり(たかいし・あかり)
2002年12月19日生まれ。宮崎県出身。主な出演映画に『ベイビーわるきゅーれ』シリーズのほか、『わたしの幸せな結婚』などがある。23年11月に第15回TAMA 映画賞の最優秀新進女優賞を獲得。2025年度後期放送予定のNHK連続テレビ小説『ばけばけ』のヒロインを演じることが発表された。
作品情報
『ベイビーわるきゅーれナイスデイズ』
監督/阪元裕吾
出演/髙石あかり 伊澤彩織 /池松壮亮 /前田敦子
公開中
公式サイト https://babywalkure-nicedays.com/