スポーツ選手かと見紛う様な体躯と爽やかな笑顔が印象的な俳優・鈴木伸之さん。しかし、これまで彼が演じてきたのは印象とは真逆なクズ役も多く、それは過去のインタビューで本人も認めている。最近は、CMでお笑い芸人とコミカルな掛け合い(しかも役は織田信長!)を見せたり、ドラマ『ファースト・ペンギン』では”お助けマン“的な若手漁師役を演じるなど別な側面も見せ始めている。そんな鈴木さんにとってのCHANGEは……。【第3回/全3回】

鈴木伸之 撮影/冨田望 ヘアメイク/下川真矢 スタイリスト/中瀬拓外

 ドラマ『バントマン』は元スラッガーがバントの魅力に気付き、人間として成長する第2の人生をメインとして描くが、もう一つの柱として描かれているのは鈴木さん扮する大翔の一人息子・直斗との親子の関係。

「直斗を演じた小山蒼海君は可愛かったですね。まだ10歳ですけど、野球も一生懸命ですし、お芝居もしっかりセリフを覚えて、監督の指示もちゃんと受けていました。本当の親子みたいになれたと思いますし、時間があれば“キャッチボールやろう”って言ってくるんです。けっこう疲れましたけどね(笑)。
 劇中で僕が彼の球をポンポン、ホームランで打ち返す……というシーンがあったのですが、この時、撮影前に僕のところに来て“俺、絶対打たれないから、ホームラン打たせないからね”って宣言したんですよ。でも、僕は台本通りにバンバン打ち返したんです。普通はちゃんとお芝居できて撮れたから嬉しく喜ぶじゃないですか。でもそうじゃなくて、僕に打たれたってのがすごく悔しかったんでしょうね。僕の方を恨めしそうな感じで見て、泣きそうになりながら、見に来ていたお母さんの所に戻って行ったんです。そんな姿が思わず可愛いなって(笑)。ほんとに野球が好きなんだってことが伝わってきましたね」