楳図かずおさんにとって「変わること」とは?
最後に、楳図さんに「CHANGE」「変わる」という言葉のイメージを聞いてみた。
「それはやっぱり、変身願望ですね」
なんとも、あっさりした答えだった。外からの影響を排除し、自分のオリジナルを突き詰めてきた楳図さんにとって、「変わる」ということは考えたことがないのかもしれない。
「自分自身を変えるということは、やっていないので。僕は変わらないことこそ、大変にエネルギーがいることだと思っています。ロックンロールは好きですけど、転がらない石、転がっていかないロックンロールは、すごいと思いますよ。変わるってことは、本当に変わるだけだから、別にどうということはないんじゃないでしょうか」
1955年にデビューしてから、楳図さんは変わっていない。変わったのは時代やまわりの状況のほうなのだろう。そんな楳図さんが予言する「大きな波」を、楽しみに待つことにしよう。
■楳図かずお(うめず・かずお)
1936年生まれ。和歌山県で生まれ、奈良県で育つ。小学校4年生で漫画を描き始め、高校3年生のときにデビュー。『へび少女』などのヒットにより、ホラー漫画の第一人者となる。一方で『まことちゃん』などのギャグ漫画を手掛け、『漂流教室』では、小学館漫画賞を受賞。ほかにも『おろち』『わたしは真悟』『神の左手悪魔の右手』『14歳』などヒット作を連発。タレント、歌手、映画監督としても活躍し、18年『わたしは真悟』で仏・アングレーム国際漫画祭「遺産賞」を受賞。23年手塚治虫文化賞特別賞を受賞している。
2024年10月28日逝去(享年88)。