山田杏奈が芝居と向き合ううえで“信じていること”
──和やかな現場だったとのことですが、撮影の合間のエピソードをもうひとつ。
「これもケア施設の撮影のときのことですが、昼間、寒い中で撮影していて、温かいご飯を用意していただいて、隣の体育館でみんなで食べたんです。長いテーブルにみんなで足を崩しながら床で食べていたんですけど、藤井監督や山田さんが“ここに座りなよ”と、輪の中に入れてくださって、みんなで一緒にくっついてお昼を食べてました。
そういうところもすごく温かさを感じていい現場でしたし、だからこそしっかりと芝居に向き合える時間だったと思います」
──本作は「信じる」という言葉もテーマのひとつです。山田さんがお芝居に関して信じていることを教えてください。
「お芝居って感情的に表現しなきゃいけないことが多いので、理論的に“こう”と信じていることは特にないんですけど、ただ“セリフは極力しっかり覚えたほうが、現場でセリフに集中しなくてよくなる”ということは、ある程度信じてます。
現場で“思い出さなきゃ”と思いたくないし、その場で生まれる感情をちゃんとつかみたいので、そのためにもセリフは現場に入る前に、しっかり頭に入れたいと思っています」
みなの事前の準備ができているからこそ、あのクライマックスシーンが生まれるのだ。
山田杏奈(やまだ・あんな)
2001年1月8日生まれ、埼玉県出身。2011年に少女漫画雑誌主催の『ちゃおガール2011★』オーディションでグランプリを受賞し芸能界入り。2018年、『ミスミソウ』で映画初主演。2023年の『山女』で第15回TAMA 映画賞最優秀新進女優賞を受賞した。2024年公開の映画『ゴールデンカムイ』においてヒロインのアシリパ役を好演し、現在はWOWOWにてシリーズのドラマ版である『ゴールデンカムイ -北海道刺青囚人争奪編-』が放送中。ほか主な出演作にドラマ『新米姉妹のふたりごはん』(テレ東)『17才の帝国』(NHK総合)、映画『小さな恋のうた』(2019)『ひらいて』(2021)『彼女が好きなものは』(2021)など。映画最新作は『正体』。
●作品情報
映画『正体』
原作:染井為人
監督:藤井道人
脚本:小寺和久、藤井道人
主題歌:ヨルシカ
出演:横浜流星、吉岡里帆、森本慎太郎、山田杏奈/山田孝之
配給:松竹