「あんまり聞きたくない、見たくないものに時間を割きたくないもんね(笑)」
こうしてゆるやかに引き合い、つながり続けてきた先に、SKYEとの共演もナチュラルに実ったのだろう。佐野史郎という人を軸に、人物相関図を描いたらとんでもないものができあがりそうだ。
「人との出会いに恵まれてきたのでしょう。はじまりは演出家に恵まれ、遠藤賢司さんと出会えたり……、その連鎖ですよね。自分から会いに出かけたというより、ずっと出会い続けてきたという感覚です。
なぜなんだろうとわれながら思いますが、本当に好きなものに足を運んだり、見続けたりしてきたし、そんなに興味のないものは身体にあんまり触れさせないようにしてきたからだと思います。だって、あんまり聞きたくない、見たくないものに時間を割きたくないもんね(笑)」
そう言って、いたずらっ子みたいな表情を浮かべた佐野さんの、純度の高い“好き”は、恐るべきパワーがある。幻のバンド・SKYEが、約半世紀の時を経て動き出してしまうほどに。次回は、いよいよSKYE再結成・再始動に至る奇跡のようなエピソードを語っていただきたいと思う。
(つづく)

佐野史郎(さの・しろう)
1955年3月4日生まれ、島根県松江市出身。1975年、劇団「シェイクスピア・シアター」の創設メンバーとして参加し、1980年からは唐十郎氏が主宰「状況劇場」で活動。1986年、林海象監督のデビュー作『夢みるように眠りたい』に映画初出演で主演を務める。現在は、テレビドラマや映画、舞台、朗読など幅広い分野で活躍するほか、映画監督としても作品を発表している。1980年代半ばからはインディーズバンドを組んで、音楽活動を継続。2023年7月にリリースした佐野史郎 meets SKYE名義の『ALBUM』(コロムビア)は、2024年11月に『2024レコードの日限定盤 ALBUM』(FUJI)として2枚組アナログレコード化された。
◆作品情報
『ALBUM』
3300円 (税別3000円)
1.DREAM LAND
2.MELODY HOUSE
3.まどのそと 視聴
4.NOSTALGIA
5.KING KONG
6.悲しき熱帯
7.旅芸人の記録
8.彼岸花
9.ほほえみ
10.セントラルアパート
11.冬の街の夜空
公式サイト:https://columbia.jp/artist-info/sanoshiro/