活動休止状態だったバンドに、運命的な転機が──。
「ところが2017年ごろ、代官山のライブハウス『晴れたら空に豆まいて』のオーナーから、音楽ライブをやってほしいというお話をいただいたんです。そのとき、“以前小原礼さんが、いつか一緒にやりましょうと言ってくださっていたな”とふと思い出して。その言葉を真に受けてご連絡したところ、二つ返事で受けてくださいました。
さらに、小原さんのほうから“ギターは茂、ドラムは立夫でいいんじゃない”とおっしゃって。それこそが、3人が高校時代に組んでいたバンド・SKYEそのものだったんです。ならばということで、SKYE名義でライブをやったら、これがなかなか好評だったんですよ。それで、“じゃあ、レコーディングしましょう”という流れになり、ミニアルバム『禁断の果実』(2019年)を作ることになりました」
このときは、ライブでともに音を鳴らし合った鈴木、小原、林の3氏と佐野さんでアルバム制作に取り掛かり始めた。だが、ここからさらなる展開が待っていたのである。
「ライブでご一緒したお三方とスタジオに入り、制作を始めてみると、皆さんが口々に“やっぱりキーボードがいてくれないと”という話になったんですよ。すると、林さんがスタジオから松任谷さんに直接連絡して、“一緒にやらない?”って。
全員同い年で中高生からの仲間だから、所属事務所やレコードレーベルの垣根を飛び越えてものづくりをすることができたんでしょうね。おそらく音楽を楽しみたい、ライブをやりたいという皆さんの思いもちょうど熟していたんじゃないかな。“10年前だったらできなかったよね”とおっしゃったのを覚えていますから」