盆栽は高齢男性の趣味のひとつ。そのイメージはもはや過去のもの。近年は若い世代や海外で“BONSAI”ムーブメントが起きている。なぜ、世界中で盆栽が求められるのか。33歳のときに日本盆栽作風展・内閣総理大臣賞を最年少で受賞し、史上最多5度の同賞受賞歴を持つ盆栽作家の鈴木伸二さんに、すぐに役立つ盆栽を楽しむためのイロハから、盆栽に関わる驚くばかりのエピソードの数々を語っていただいた。【第1回/全3回】

前人未到の日本盆栽作風展・内閣総理大臣賞に5度輝き、サムスン電子盆栽技術顧問をはじめモナコ公国王など、世界中のセレブリティを魅了する盆栽作家・鈴木伸二さん。インタビュールームにさっそうと現れた鈴木さんは、ロックスターのようなクールでワイルドないでたちだ。そんな鈴木さんに緊張感を覚えたのもつかの間、穏やかな口調と柔らかな物腰に、心が解きほぐされた。究極の植物男子である鈴木さんに、まずは盆栽の魅力について伺った。
「盆栽の魅力は尽きませんが、一番わかりやすいのは“愛情をもって育てれば、ちゃんと答えてくれること”でしょう。ペットのワンちゃんやネコちゃんと違って、植物はおなかが空いても声を出せないし、調子が悪くても訴えられません。一日でも水やりを忘れたり、ぞんざいに扱うと枯れてしまいます。
一方で、愛情をかければかけるほど花を咲かせたりして目を楽しませてくれます。盆栽のなかには、樹齢3000年近いものもあって、いまお世話する僕だけでなく、それ以前の何百年もそうして手をかけてきた人がいて、そしてこの後何百年もそれが続いていくことが素晴らしいなと」