盆栽の歴史を分かりやすく解説。世話する盆栽のなかには“大隈重信や川端康成”が愛していたものも

「そもそも盆栽は唐、いまの中国から平安時代に『盆景』として伝わりました。盆、つまり板の上に砂を敷き、石や植物を置いて箱庭のような景色を楽しむもので、そこから盆栽という形になり、戦国武将や庶民へと浸透していきました。
 僕がお世話させていただく盆栽の中には、大隈重信さんや川端康成さん、吉田茂さんが愛した盆栽などもあり、その人たちと動乱の時代を生き抜いてきたわけです。元の持ち主は、水やりしたり手をかけるときに、世の平和や心の平安を願ったんじゃないかなと。こうした気付きは若いころはありませんでした。
 でも、大切な人が遠くにいくことを度々経験するようになってから、先人たちが守り受け継いできた盆栽を見ると、人の愛情によって目の前の命が奇跡的につながってきたのだと思い、とても感動します」