コンサートで歌うと泣かれる方も多い『LOVE BRACE』

「あと、普段着はジャージだったので、“華原朋美”のイメージと違いすぎてバレなかったのかも。スタッフさんたちからは“遊びに行くのはいいけど、ジャージはやめてくれ”と、いつも怒られていたんですけどね」

――確かに、まさか“朋ちゃん”がジャージだとは思いません(笑)。

「それで、普段着もスタイリストさんが用意してくれるようになって、プラダなどの高級ブランドの洋服を与えてもらっていました。今となっては贅沢な話ですよね。いい時代にデビューさせてもらえたんだなと実感します」

――名曲ぞろいで大ヒットを連発しましたが、印象的な作品は?

「1stアルバム『LOVE BRACE』です。たくさんの方が聴いてくれた曲が入ったアルバムで、コンサートで歌うと泣かれる方も多いんです。客席から、よく見えるんですよね」

――それを見て、どんな思いで歌われていますか?

「私も引っ張られないようにしています。泣いている方に何があったのか分かりませんが、それぞれの人生があると思うんですよね。特に同世代の方は、昭和・平成・令和を生きて、好景気を経て不景気を経験して、コロナ禍がやって来て、失うものもすごく多かったと思います。
 そういう“現在”から『LOVE BRACE』を聴いていた自分の青春を振り返ると、感情が動くのではないでしょうか。それは私自身の青春でもあったし、だからこそ歌っている途中で、“うっ(泣)”となることもありますね」

――華原さんの楽曲や歌声が胸に深く刺ささるのは、そういう背景があるからかもしれません。

「そういうヒット曲が何曲も入ったアルバムがあるという、自分の過去に対しては感謝の気持ちがありますね。自分の人生において夢を見させてもらったし、今は母親という経験もさせてもらいながら、ステージに立って歌わせてもらってもいる。
 私は歌うことが仕事とは思えなくて、立たせてくれているファンの皆さんには、すごく感謝しています」

――改めて、30周年への思いをお願いします!

「華原朋美が30周年を迎えられたというのは、私が頑張ったからではなくて、ファンの皆様が支えてくれたからこそ、私はステージでマイクを持って歌えると思っています。
 30周年、続けさせてくれてありがとうございます!」

 

華原朋美(かはらともみ)
1974年8月17日、千葉県生まれ。身長156センチ。1995年に歌手デビューし、『I BELIEVE』『I'm proud』など、ミリオンヒットを連発。現在は歌手活動をメインにバラエティ番組、CMなど多方面で活躍している。