2代目市川猿翁から教わった『型破り』の本当の意味

 そして、13回目の出場となる1991年、『冬化粧』で披露したのは、真っ白な衣装での“宙乗り”。ちなみに、紅白歌合戦で宙を舞ったのは、このときの小林が初だったという。

「猿翁さんには本当にかわいがっていただいて、感謝しかありません。あるとき、こんなことをおっしゃいました。“幸子さん、どんどん派手にしていくのはいいんですが、いつか元に戻るということを目的にしてください”……すごい言葉ですよね。またあるときは、『型破り』という言葉の本当の意味も教えていただきました」

──幸子さん、一般的には、他とは違う目立つことをするというふうにとらえられているかもしれませんが、違うんですよ。歌舞伎には型というものがあって、それをきちんと理解し、身につけたうえで、何かをプラスするのが型破り。ただ破天荒なことをやるのは、形無しというんです。

「歌舞伎に比べたら演歌の歴史はまだまだ短いけれど、先人の方々が培ってこられたものを、わたしはもっともっと学ばなければいけない、と襟(えり)を正す思いでした」

昨年はティーン誌にギャルとして登場し、見る者をまた楽しませてくれた小林幸子 ※本人のインスタグラム@kobayashi_sachiko_5884より