リアルな友達作りが苦手だった子供時代に出会ったもの

──仕事と仰るのはこれまでの俳優やMCなどを中心に、ということですか。

「いま仕事は幅が広いです。最近はテレビにあまり出ていないので、“あの人、どうなった?”ぐらいのことを言われたりしますけど(笑)。テレビ業界は若い、可愛い、美しい、カッコいいが重宝されますから。でも、今の私にはこれまで培ってきた経験やスキルがあるので、映画を作ったり、舞台公演をやったり、執筆や講演、企業の社内研修に行ったり……。歳を重ねたおかげで、今回の映画『真夏の果実』ではおばちゃんを演らせて頂いているわけだし。ほんとに多岐に渡っています。そして、今は妖怪に携わる仕事も進行しています」

映画『真夏の果実』でホームセンターで働く先輩役を好演する東ちづる (c)2025「真夏の果実」製作委員会

──妖怪?

「現代の妖怪を描いて解説したりしています。一昨年、『妖怪魔混(まぜまぜ)大百科』(ゴマブックス)という本を出しました。展示会も開催したり、それに出品するための描き下ろしの絵も制作しています。キャンパスの前で“う~ん”って悩んでいます(笑)。ドイツ平和村を題材にした『マリアンナとパルーシャ』(主婦と生活社)という絵本も以前に出版しましたが、やっぱり妖怪を描いているのがなんとも楽しいです」

──妖怪との出会いのきっかけはあったんですか?

「子供の頃、リアルな友達作りが苦手だったんです。小学生の時に通知表の備考欄に『一定の友だちとしか付き合えない』みたいなことを書かれたので、色んな友達と遊ぶようになったら、今度は『八方美人の気がある』と書かれて。“友達怖い、もういい”と思って、妄想の中で友達を作っていたんですが、その友達が妖怪だったんです。元々、不気味なモノが好きということもあって、私にとって都合の良い生き物をいっぱい作っていました」