俳優としてはもちろん、エッセイや絵本の作家としても知られる室井滋。早稲田大学在学中に「自主映画の女王」として名を馳せ、1988年にスタートした小林聡美、もたいまさこ共演のドラマ『やっぱり猫が好き』で一躍、人気者になった。その後も映画『居酒屋ゆうれい』『のど自慢』『ヴィヨンの妻 〜桜桃とタンポポ〜』、ドラマ『菊次郎とさき』『七人の秘書』と存在感を放ち続ける室井さんのTHE CHANGEとは――。【第1回/全3回】

コメディから人間ドラマまで、巧みな演技で引き付ける室井さん。女優になろうと地元富山から上京し、大学のシネマ研究会に所属していたころから、数多くの映画に出演してきた。
――大学のサークル時代から、いろんな監督の作品に引っ張りだこだったとか。
「女優になりたかったから。いろいろ声をかけていただきました。監督さんも同じ学生だったり、自分より年上の方でも、学校を出て独立プロでやっていらっしゃる 、いわゆる自主映画でしたから、カメラマンも学生同士だったりするんです。すると、どブスに映るわけですよ。
それで“私、こんなにヒドイ顔なの?”と愕然として、また別の人に声をかけられると“今度はキレイに撮ってもらえるかな”と思って出ていくんですけど、“これもダメだわ”と。そんな風に出ていたら、すんごい本数になっちゃったんです」
――ご謙遜を。
「大学のシネマ研究会ですからね。俳優や女優がいっぱいいるわけじゃないんです。そこで私はプロになりたいと思ってやっていた。舞台もやってました。そういう意味では、“自分はプロでやっていく”と考えている人とそうでない人たちとでは、差は出てきます。特別、私が優れていたというわけではないと思います」