お金をかけずにお酒と充実した付き合いをするには
BARカウンター越しの陸さんと山内さんーーお金をかけずにお酒と充実した付き合いをするには、どうしたらいいですか?
陸「コレクターにならないことですね。個人所有はキリがないので、飲みに行くお店を増やしていくほうが総合的にお金がかからないと思います。そのほうが今っぽいですよね。車もそのつどレンタルするのと同じように、所有せずにお店が所有するものを味見しにいく感覚ではしごするのが長くお酒と付き合えるのかなとは思います」
山内「いまはどのお酒にも転売ヤーがいますが、特に日本酒の場合、そういう市場に乗せられやすいプレミアム銘柄は冷蔵庫で保存することを前提に造られているので、ちゃんと保存しないと劣化する場合が多いんですよ。“なんとかお金を払って手に入れたのに、美味しくない状態だった”ということがものすごく多いんです。どんなに飲んでみたい銘柄でも、定価からあまりにもかけ離れた金額のものは絶対に買わないようにと伝えたいですね。それに、プレミアム銘柄でなくても美味しいお酒はたくさんありますから。
そういう美味しい酒を手に入れるためには、日本酒に熱心な酒屋さんに通って店主やスタッフと仲良くなるといいと思います。ブランド力が強い銘柄だけではなく“今はこれが美味しいよ!”なんて掘り出し物を教えてくれることも。私もそういう行きつけの酒屋さんがあって、“最近注目している酒蔵ない?”みたいに言うと喜んでいろんな酒を提案してくれます」
陸「家で飲む方はそれが一番いいですよね。個人で買えない高いお酒が欲しい場合は、飲食店で飲んだほうがいいです。管理もちゃんとしていますし。さきほどの会の話だと、飲んだことのない超いいお酒なのに“買ったのは10年前です”というシロモノだと、“あれ? こんなもんか”となってしまう。そういうのはさみしいなと思いますね」
昨今ではシャンパンがそうした憂き目にあっていると、陸さんが話す。