作品を意識して変えた渡辺のルーティン、北山も呼応「俺も俺にしか出せないものを」

渡辺「今回は自分が出ているパートだけになりますが、やっています。一度セリフを客観的に聴いてみて“こういう風に聴こえるんだな”と感じて、また稽古場で他の方の芝居を受けると、新しい解釈が生まれます。それが面白いです。
 『罠』は緻密な会話劇で、セリフが積み重なったパズルのようだったから、本番でちょっとでも違和感が出ないようにこのやり方でやってみました。今回は相手の芝居にもっとゆだねてみて、感じたことに重きを置いた芝居になりそうです」

渡辺大 撮影/有坂政晴

北山「それなら、俺も俺にしか出せないものを見せていかないとね。芝居だけじゃなく踊って歌ってきて、自分なりにエンタメの経験があるわけだから、その蓄積から引き出していこうと。松永としての芝居に、どう色をつけていくかを稽古場で必死に考えてきました」

 異なるキャリアを歩みながらも共鳴し合う2人の魅力は、どんな経験を経て培われたのか。次回は、彼らの人生を大きく変えた『転機』について、深く語ってもらう。

(つづく)

・北山宏光
スタイリスト/柴田 圭
ヘアメイク/大島 智恵美

・渡辺大
スタイリスト/久保コウヘイ(QUILT)
ヘアメイク/大塚貴之(Rouxda)
スーツ/103,400(ボブ/タキヒヨー☎︎03-5829-5671)
その他スタイリスト私物

北山宏光(きたやま・ひろみつ)
1985年9月17日生まれ、神奈川県出身。2002年より芸能活動を開始し、舞台・映画・ドラマ・音楽などで活躍を続ける。2023年にはTOBEへ合流し、同年11月にソロデビューシングル『乱心-RANSHIN-』をリリース。楽曲制作やライブの演出を手掛けるほか、『君が獣になる前に』(テレビ東京系)、『DOCTOR PRICE』(日本テレビ系)などのドラマにも出演し、ソロアーティストとしての音楽活動と俳優業を両立させている。

渡辺大(わたなべ・だい)
1984年8月1日生まれ、東京都出身。2002年、父・渡辺謙が演じる吉村貫一郎の青年時代役で『壬生義士伝 新選組でいちばん強かった男』(テレビ東京系)でデビュー。以降、ドラマ、映画にて現代劇から時代劇までコンスタントに出演を重ねる。2018年、映画『ウスケボーイズ』でマドリード国際映画祭2018・最優秀外国語映画主演男優賞、アムステルダム国際フィルムメーカー映画祭2018・最優秀主演男優賞を受賞。

【公演情報】
舞台『醉いどれ天使』
原作:黒澤明 植草圭之助
脚本:蓬莱竜太
演出:深作健太
出演:北山宏光
渡辺大 横山由依・岡田結実(Wキャスト) 阪口珠美 / 佐藤仁美 大鶴義丹 ほか
東京公演:11月7日(金)~23日(日) 明治座
名古屋愛知公演:11月28日(金)~30日(日) 御園座
大阪公演:12月5日(金)~14日(日) 新歌舞伎座
公式サイト:https://www.yoidoretenshi-stage.jp