過去の大河ドラマでも“時代の変化”を経験「新説を反映させようという事が」
「『仮名手本忠臣蔵』という歌舞伎の娯楽作として成立したのは、太平の世になり、悪法ともいえる失策による庶民の暮らしの困窮からくる高官への反感、感信を失った武士の欲求不満などが、日本人、人々を惹きつけた。しかし吉良側からの視点で見れば、まったく承服できない話。双方、そんな単純な悪ものとして描かれるものではない、という見方が近年は強い。そういう面も描けるとしたらより膨らみのある面白い作品だなと思えたんですね」
歴史上の人物はその捉え方が時代によって変化することがあり、かつて出演したドラマでもそうした経験があったという。
「NHKで信長の父・織田信秀をやらせてもらったとき(大河ドラマ『麒麟がくる』/2020年)、かつての信長のイメージというのは信秀だったんじゃないかという新説を反映させようという事がありました。
ただ、わかりやすい勧善懲悪の作りというのも『忠臣蔵』の魅力、という側面ももちろんあるとは思います。長く積み重ねられた昔からのエンターテイメントの原型がここにもある。だからこそ、長く愛されて、何度も描かれてきたわけですよね。だから、その原型も大事な部分であるのは間違いない。そこをどう織り交ぜて表現していくかは楽しみですね」