他人事じゃないかもしれない

 「私には関係ない話」ととらえられてしまう前に、「読者の方に自分の物語として本を手に取ってもらいたいと思ったので、まったく知らない宗教の話から始めるのではなく、まずみなさんが知っている事件を入り口にして、そこから宗教二世問題に興味を持っていただいたあと、まったく別のものをお見せしようと思って書いていきました」と、実在の事件を想起させる描写を意識した背景を教えてくれた。

「他人事じゃないかもしれない、というところから宗教や信仰について知りたいと思うようになりました。振り返ったとき“一緒にごはんを食べた人や一緒に仕事をしていた人は、自分とは違う信仰を持っていたかもしれないな” とか、想像をすることは大切だと思うんです」