2007年のデビュー以来、次々とベストセラーを生み出し続ける小説家・湊かなえさん。11月27日には、宗教・宗教2世を題材とした29作目となる新刊『暁星(あけぼし)』を上梓した。とどまることなく豊かに表現し続ける湊さんの、THE CHANGEとは。【第4回/全5回】

湊かなえ 撮影/有坂政晴

 以前から「宗教2世について書こうと思っていた」と話す作家の湊かなえさんが、11月27日、29作目となる長編小説『暁星(あけぼし)』を発売した。

 今作では、主人公が公衆の面前で現役大臣を刺殺することから展開する。宗教2世の主人公は人生にもがき、宗教に対する恨みをノンフィクションの手記として綴っていく。一方でもう一人の主人公は、同じ宗教とのかかわりをフィクションの物語として描く。さまざまな視点からそれぞれの"宗教” が語られるのだ。

 では湊さんにとって、宗教とは?

「否定するものではないと思っています。私は23歳のとき、青年海外協力隊としてトンガ王国という南の島に赴任したんです。国民の98%がキリシタンというキリスト教徒の国で、日曜日は安息日なので1日に3回教会に行ったり、犯罪率が日本より少ないという特徴がありました」