ライブ終了後の授乳「迷惑をかけたかもしれませんが、働くことで子育ての喜びを犠牲にするのは違うのかなって」
驚くことに、出産からわずか8か月後に、全国ツアーに出ることが決まっていたという。代わりのきかないアーティストという職業だと言ってしまえばそれまでだが、たくさんの人に夢や希望を与えながら、その裏ではひとりの女性として、心身的にギリギリの状態だったとしたら……、そう思うとなんだか切なくなってきた。
「最初のころは特に、全然、眠る時間が取れないので体力的にもしんどくて。あんまりにも毎日がハードだったから、“これは人としての試練なんだ”とか、“人としてさまざまなことに対応するための試練を与えられているんだ”って思うようになっていきました。
さらに、出産から8か月後には、全国ツアーが決まっていて。私は迷わず、子どもを連れて全国を旅することにしたんです。50か所を回るロングツアーで、遠い場所のライブのときには、誰かにあずかってもらうという選択肢もあったかもしれません」
預けてしまったほうが、むしろ心身ともに楽になっただろう……。
「私は、やらないで諦めるくらいなら、やって失敗したほうがいいと考えるタイプです。ライブが終わったそのすぐ後で、0歳の我が子におっぱいをあげたいと思ったから、すべてのライブに子どもを連れていきました。子どもが喜んでおっぱいを飲んでくれるからというのもありましたし、そうすることで私自身が安心できたんですよ。
いろいろな方に迷惑をかけたかもしれませんが、働くことで子育ての喜びを犠牲にするのは違うのかなって。あんまりにも子どもがかわいくて、仕事に行きたくない、子どもとずっと一緒に居たい……そんなふうに考えることも正直、ありましたね」