お客さんに対して申し訳ない「仕事と子どもの狭間で揺れて、精神的なアップダウンがかなり大きかったなって」

 世の中に、“気が付いたらアーティストになっていた”という人は、ほとんどいないだろう。人生を賭した夢として、アーティストを目指し、その中でほんの一握りの人だけがスターになれる。

 魂を焦がしながら歌い続けてきたであろうAIさんが、「仕事に行きたくない」と思ったというのは、驚天動地のことではないか。まさしく、“THE CHANGE”だっただろう。

「なにもせず、子どもと一緒に居られたら最高に幸せだろうなとも思いました。けど、現実はそうじゃありませんよね。仕事として目の前のお客様にいい歌を届けるには、ちゃんと寝なきゃダメだし、自分の時間を無理やりにでもつくらなきゃいけないんです。アスリートが寝ることで身体を回復させるように、喉もしっかり睡眠をとらないと声が出ないんです。  
 けれど、子どもがぐずったりすると、母親の本能で目が覚めてしまう。眠れない自分にイライラしたり、そうやって眠れなかった翌日には、声が枯れちゃったりするから、お客さんに対してすごく申し訳ない気持ちになって……。罪悪感もあったし、仕事と子どもの狭間で揺れて、精神的なアップダウンがかなり大きかったなって思いますね」

AI 撮影/冨田望 ヘアメイク/小野明美 スタイリスト/後藤則子