俳優・成宮寛貴が、12年ぶりに劇場に帰ってくる。2026年1月から始まる三島由紀夫作の戯曲『サド侯爵夫人』で主演する彼は、なぜこのタイミングで、そして、なぜこの作品で再び舞台に立つことを決意したのか。成宮の、表現に燃やす執念と人生のTHE CHANGEを聞いた。【第1回/全4回】
「映画や広告のお誘いもいただいたんですが、僕は一度決めたら実行するタイプなんです。大好きだった世界だからこそ距離をしっかりと置きたかったので、お断りさせていただいてました」
9年前の芸能界引退からしばらく距離をおいていた芸の世界に、2025年3月のABEMAドラマ『死ぬほど愛して』の主演で復帰した成宮。
1965年に書かれた『サド侯爵夫人』は、18世紀のフランスが舞台。女たちの愛憎がうずまく戯曲だ。これを今回、サド侯爵夫人・ルネ役の成宮はじめ、全員が男性、そして演出に宮本亞門さんという顔ぶれで上演する。25年ぶりに一緒に作品をつくる恩人との再会を、子どものように無邪気な様子で振り返ってくれた。
「自分の中で気持ちの整理がついて“また、俳優を挑戦しようかな”と思えてきたタイミングで、夏に海辺でやっていたジャズコンサートにふらっと行ったら、目の前に亞門さんがいらっしゃったんですよ。その夏、僕が海に行ったのはその一度きりだったのに(笑)」