「映画的には勝ち負けは決まってる。でも、彼らの中の勝ち負けをつけたい」
「だから、おかしいんだよね。ボクシングの映画で、試合のシーンは当然、厳密な手を決めているわけではないけど、展開は決まってるし、動きも決まってる。
でも、彼らは戦ってるんだよね。
皆さんは、え? なんで? って思うかもしれないけど、彼らは負けたくない、と思ってるんですよ。これが、すごくよく手に取るようにわかる。
流星も、絶対に、窪田(正孝)くんよりは俺はやってる。坂東(龍汰)くんよりは俺はやってる、と思ってる。向こうも向こうで、当然そう思ってる。絶対こいつより俺は上手く見せてやる。強く見せてやる。それがすごくお互いの中で出ている。
面白くてしょうがなかったし、そういう熱い気持ちだから、ああいうシーンになってたのかな。映画的には勝ち負けは決まってる。でも、彼らの中の勝ち負けをつけたい。そういうのがよく出てる」