大学休学の要因にもなった“同調圧力”「“男女はカップルになるべき”という風潮が強かったんですよ」

「女装したニューハーフさんは、取り上げられるけど色物でしかなかった。私は当時まあまあ優等生だったので、優等生としてそれを受け入れるのは辛いな、と思っていて。だから受け入れられなかったです。自分の気持ちに気づいても黙っていました。
 それに、高校までは大学受験もあるし、“勉強が忙しい”とか、自分に対してのいろいろな言い訳が利くんですが、大学に入るとそういう言い訳が利かなくなってきて。
 当時って、いま皆さんが感じているよりもっとすごい同調圧力で、“男女はカップルになるべき”という風潮が強かったんですよ。そういう空気感が受け入れられなくて、“どうしよう、自分はゲイだし……”と考えてるうちに戸惑ってしまって、“ここにいたらおかしくなっちゃうかもしれない”と思って、大学を休学したんです」

 同じタイミングで父親が末期がんを患い、「渡りに船で、“面倒を見るために”と大学から逃げるがごとく実家に戻った」という時期があったという。

──休学中、そういった空気と自身の性自認について、どう折り合いをつけましたか?

「理論武装しました。当時は『Badi』(テラ出版)というゲイ雑誌があって、ちゃんとした人がゲイの中にもいるというのを勉強していたんですよね。大塚隆史さん(造形作家)や伏見憲明さん(小説家)、有名どころだと橋本治さん(小説家)がゲイを公言して活動されていたので、そういった人たちの本を読んだりして“そんなに悪いことじゃないかもしれない”と思えるようになったんです。
 あと、父の死という出来事も大きいですね。“人間、いつか死んじゃうんだ。それならもうちょっと自分に正直に生きようか。自分を受け入れて生きるのも、いいころなのかな”と思うようになったんです」

 理論武装と父の死によって、ニクヨさんは少しずつ自身を受け入れていったのだ。

肉乃小路ニクヨ(にくのこうじ・にくよ)
1975年5月23日生まれ、千葉県出身。経済愛好家、コラムニスト、ニューレディ。渋谷教育学園幕張高等学校から慶應義塾大学総合政策学部に進学し、大学在学中の1996年に女装を開始して、ショウガールやゲイバーのママとして勤務。証券会社、銀行、保険会社と、経済やお金にかかわる職歴を生かして「経済愛好家」として、さまざまなメディアで独自視点のマネーハック(お金の効率的な工夫)を発信中。

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