ライバルの活躍を見て涙「大阪での成功体験があるから…」

「財布に2000円だけ残しとくんです。そのお金で、負けても必ず近所の焼肉屋さんに行く。借金してるくせに、その日食べるものは見栄を張りたいんですよね。でもある日、棚に置いてあるテレビにバラエティ番組が映っていて、そこでは芸人さんが面白いことを言って、わぁってスタジオも盛り上がっている。
 パチンコに負けて2000円だけ残した男が、それを見ながら“俺は何をしてるんや”って泣きながら肉を食べてました。なまじ大阪での成功体験があるから、なおさらの反動ですよね」

 さらに、東京の事務所には「“那須推し”でいくから」と言われたこともある。「ニコイチでやってんのにそれはないんちゃうか」と思ったが、自分に目を向ける契機にもなった。そこで、ようやく気がついたという。

「自分大したことなかったな、と。事務所がサポートしてくれていたから仕事をいただけていたこと、周りの人が助けてくれていただけだということ。周囲の人たちの力があってこそ自分たちが立っていられたことのありがたみにやっと気づけました」

 折しも、お笑い番組界は“冬の時代”に差し掛かっていた。なすなかにしが上京したのは2008年。その2年後である2010年には、『爆笑オンエアバトル』(NHK)の終了、『エンタの神様』(日本テレビ系)、『爆笑レッドカーペット』(フジテレビ系)のレギュラー終了&特番化など、ネタ見せ番組が急速に消えていく。さらに『M-1グランプリ』の一時終了など、地上波のお笑い番組はひとつの時代を終え始めていた。

(つづく)

■作品情報
『いまのところ』(双葉社)
著:中西茂樹(なすなかにし)
発売日:2026.02.18
予価:1,650円 (本体1,500円)
判型:四六判
ISBN:9784575320510