理想の芸人像とのねじれ「“あの人みたいになるのは無理だ”と気づいて…」

「理想としている芸人像があるじゃないですか。カリスマっぽくなりたいとか。でも芸人生活を続けているうちに、“あの人みたいになるのは無理だ”と気づいていって、どんどん、どんどん禿げて、今の自分が出来上がる。ずっと諦めてるんですよ」

 10代、20代は、「自分の個性を作らなきゃ、見つけなきゃ」と焦りがあった時期もある。漠然とだが、“こういう芸人になりたい”という目標や、憧れる姿もあった。もがきにもがいた経験を経て、「諦める」ことも大事だと、今は思えるという。

なすなかにし・中西茂樹 撮影/河村正和

「諦めないと個性って出ないんですよね。諦めてきたからこそ絶対そうだと言い切れます。諦めるからこそ、個性が浮かび上がる。最後に残ったものが自分。“カリスマになりたい”なんて所詮誰かの真似事で、何かのツギハギを超えないから、結局それは“自分”じゃない。自分が出てこないんです」

――諦める・諦めないの基準はどこにあるのでしょう?

「自分に嘘つかへんことちゃいますかね。自分を出す、ということを諦めない方がいいですよね、絶対に。難しい話ですけどね」

 幼少期から、“譲る”タイプだったという中西さん。これを示すエピソードとして、「1歳か2歳ぐらいの頃から、飴が1個しかなかったら“自分はいらない”と意思表示をした」と親から聞かされたことがあるという。