少年時代の中西さんを唯一認めてくれた相方「あんちゃんが正しいよ」

「今思えば、子ども時代はずっと家族の間のバランス取ろうとしてましたね。親が揉めそうになると、僕が間に入って場を収める。自分の話も、これを言うたら親が揉めるんちゃうか、自分を出したらこういう問題が起こるんちゃうか、って子どもの時から一歩引くクセがありました」

 中西さんには、2歳上の兄がいる。兄は幼少期から勉強ができ、いわゆる“できのいい”子だった。そもそも親の顔色をうかがう生活のなかで、さらに兄ばかりが褒められた。そんな家は、居心地が良かったとは決して言えない。鬱々とした少年時代、救いになったのが那須さんの存在だったのだ。
 
「僕は家でも学校でも兄貴と比べられて、どこにいっても“お兄ちゃんの方がすごい、お前はできへん子や”という扱いだったんですけど、晃行だけは唯一“あんちゃん(=中西さん)が正しいよ”って言い続けてくれました。自分は自分のままでいいんだって思えるようになったのは、晃行の存在がでかいですね。晃行とおったら、自信をもらえるんです」

 書籍『いまのところ』には、大切にすることとして「自分を犠牲にしない」という言葉が記されている。家庭環境も、兄弟構成も、子供にしてみれば不可抗力だ。そういった“どうしようもない”環境が、子どもなりの処世術を磨いてきた。

「子どもの頃に学んだことで大きいのは、しんどかったってことじゃないですかね。自分を殺すことのしんどさを知ってるから、そうじゃない方がいいっていうことはわかる。そこを通ってくると、それを考えへん時がどんだけ楽なのかっていうのがわかる。だから、自分を犠牲にしないという軸を持つことによって、人生はちょっと楽しくなってくる。あくまでも自分の経験談ですけどね」

(つづく)

■作品情報
『いまのところ』(双葉社)
著:中西茂樹(なすなかにし)
発売日:2026.02.18
予価:1,650円 (本体1,500円)
判型:四六判
ISBN:9784575320510