一度、曲を書いてくださった弦哲也先生に、「歌えません」と弱音を吐いたことがあるんです

 それまで私が歌ってきた歌とは、スケール感、世界観もまるで違っていて、曲のパワーに圧倒され、いただいた曲を聴いた瞬間、ゾワゾワゾワッと鳥肌が立ったのを覚えています。

 ただ、とにかく難しい歌で。何度、歌ってもうまく歌えなくて……。一度、曲を書いてくださった弦(哲也)先生に、「歌えません」と弱音を吐いたことがあるんです。「私には無理です」と。今思うと、足はそこで懸命に踏ん張ろうとしているのに、気持ちが逃げようとしていたような気がします。

 口から言葉がこぼれ落ちた瞬間、弦先生に、「かおりちゃんは今歌手として崖っぷちにいるんだよ」と言われて。歌も崖っぷち、私自身も崖っぷちだったんですよね(苦笑)。

 レコーディング前のレッスンで弦先生に言われたのは、「きれいな顔で歌おうと思うな。青筋を立てて、なりふり構わずに歌え」ということでした。

 発売したのは、2002年の4月24日。「この歌がダメだったら歌手を辞める」。そんな強い覚悟を持って必死に食らいついた『東尋坊』は、発売直後から、じわじわ、じわじわと広がっていって。全国を回るキャンペーンでは一か所で、3、4曲歌うんですが、まず足を止めて、聴いてくださる人が増え、次に、『東尋坊』を歌い始めると、“その歌を待っていたんだよ”という感じで、周囲の温度が上がるのがわかりました。

つづく

水森かおり(みずもり・かおり)
1973年8月31日 東京都北区出身 1995年に、『おしろい花』で演歌歌手としてデビュー。“ご当地ソングの女王”と呼ばれ、これまでに170曲を超えるご当地ソングを歌う。02年の『東尋坊』で、同年の『日本有線大賞 有線音楽優秀賞』を受賞し、一気に飛躍。翌03年の『鳥取砂丘』がロングヒットとなり、同年の『NHK紅白歌合戦』に初出場。以降、23年連続出場中。東京都北区のアンバサダーを務めるほか、28の観光大使を拝命。3月31日、『恋の終わりの名古屋にひとり』(作詞:たかたかし、作曲:弦哲也)が発売予定。夏には、東京・明治座で、『梅沢富美男 水森かおり特別公演(6月27日~7月26日)』が控えている。

Aタイプ

『恋の終わりの名古屋にひとり』
作詩:たかたかし 作曲:弦哲也 編曲:伊戸のりお
3月31日(火)発売
¥1,550(税込)
ジャケット写真とカップリング曲が異なる2タイプ(AとBタイプ)同時発売!

Bタイプ