「復帰してみせる」誰もやったことがないヘルニアからの再起への挑戦

「長野が終わって1年後くらいに、椎間板ヘルニアになったんです。突然動けなくなり、主治医に相談すると『明日から入院して、すぐに手術します』という感じでした。『引退してスケートを辞めれば、手術をしなくてもいい』とも言っていましたが、2年後にはソルトレークシティ五輪が控えていました。だから『ここでやめたくない』という気持ちが強かった一方で『同じ症状で復活した人がいない』ということも聞いていたんです」

 手術をしても、選手として復帰できる保証はない。しかし、岡崎さんはただ前だけを向いていた。

「でも、わからないじゃないですか。やってみないとわからないことはたくさんあるので『復活したい』、『復帰してみせる』としか考えていませんでしたね」

 手術することについて、監督は首を縦に振らなかった。「ダメになったら、ご両親になんと伝えたらよいのか……」と岡崎さん以上に葛藤した。

「でもそこはね、『自分の体なので大丈夫です。自分でなんとかします』とお伝えしました。なんだか変な自負があったんですよ。幼少期から高校卒業までを田舎で過ごして、野生児化していたのか(笑)、傷口はすぐに自然治癒していたし、手術しても意外とイケそうな気がするなと。あとはリハビリがポイントでした。誰もやったことがないのなら、私が初めて経験してみようかな、と思ったんです」

ーーそして無事手術が成功したんですね。

「そうですね。その後病院で1週間くらいリハビリをやったんですが『これじゃあ絶対に間に合わないよな』というようなリハビリなんですよね。そーっとそーっとやっている。これじゃ私は間に合わない!と感じて『ダメ』と言われていたのですがナイショで階段の上り下りをしたり」

ーー禁止されていたのに、大丈夫でしたか……?

「それが、全然痛くなかったんです。『本当に手術したのかな?』という感じ。筋トレもしていたし体幹も強かったので、手術した箇所に負担がかかっていなかったのかなと思います。その後、主治医に『富士急行に戻って自分なりのリハビリトレーニングをしてもいいですか? 2年後に五輪があるんです』と伝えると、すぐに快諾してくれましたね」