堀井雄二が叩き込んだ「ドラクエはシナリオじゃない」
RPGといえば、重厚なシナリオこそが命だと思われがちだ。しかし、堀井氏の哲学は違った。「堀井さんは『シナリオじゃなくて、体験が大切。プレイヤーに何を体験させるかをまず考える』と仰っていました。たとえば『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』には、プレイヤーが結婚相手を選ぶという有名なイベントがありますよね。あれは『真剣に相手を選ぶ』という強烈な体験が真ん中にあるからこそ、そこに自分だけの物語が生まれるんだ、と」
頭では理解しつつも、血気盛んだった若き日の藤澤さんは、時にその哲学に反発心を持つこともあったという。
「僕は性格的に跳ねっ返りなところがあって、『なんでそんなふうに考えるんだろう』と当時は盾突いたこともありました。堀井さんからはさぞ煙たがられただろうと思うのですが、それでも見捨てずに、根気よく、いろいろなことを教えてくださいました。当時は『そんなものかな』くらいにしか思っていませんでしたが、今になれば、堀井さんが言っていたことの意味が痛いほどよく分かります」