泣かせることよりも、驚かせることのほうが難しい

 堀井雄二氏の根底にあるのは、「ゲームを作りたい」という欲求以上に「人をビックリさせたい」という純粋なエンタメ精神だという。「まだ誰も見たことのないもの、予想を裏切るようなもの、『え?そんなことあるの』と感情が動くものを作りたい人なんです。若い頃って、つい『泣ける物語を作りたい』なんて独りよがりに思いがちですが、泣かせることよりも、サプライズでビックリさせるほうがずっと難しい。そして、驚きによって感情が動いたとき、人は幸せになれるんです」

 プレイヤーにどんな「体験」をさせ、どう「ビックリ」させるか。堀井雄二氏から受け継いだその強烈な「遊びの遺伝子」は、形をARGへと変え、現在の「第四境界」の作品群の中で確かに息づいている。

つづく
 

『人の財布~高畑朋子の場合~』定価/1,430円(税込) 発行元/双葉社 http://www.futabasha.co.jp