忘年会の後の高熱が4年連続で起こった

 20年にも及ぶ引きこもりが始まったきっかけは、大手出版社主催の忘年会だったという。

新井「若い漫画家たちが集まって、“自分はこんな漫画が描きたい”とか、“こんなことをやろうと思っている”とか、お互いに大きいことをしゃべることもあって……。

 そうすると、帰りの電車の中で“俺はなんて恥ずかしいことを言ったんだ”と、ドーーンと落ち込む。そして翌朝、40度近い高熱が3日間続く。それが4年連続で起こったんです」

ーー4年連続!

新井「年末年始だけが唯一体を休められる時期なのに、そんなところに行って言わなくてもいいことを言って、高熱を出して寝込む……というのが4年も続いて、“俺、もうムリだわ”って思って、そこから出なくなっちゃった。怖くて。自分の言葉で結構人を刺していたな、と思って」

ーーたとえば、どんな言葉ですか?

新井「なるべく言わないようにしていたけど、“◯◯さんは、女の人を上手く描けないですよね”くらいのことを、けっこうはっきりと言っちゃってたから。そんなの、言うことじゃないじゃん。

 でも、ずっとどこかで自覚はあったのかもしれない。20代の頃はかなりやばくて、お決まりの“いい天気ですね~”みたいなやりとりがめんどうくさくて、“この人、どこからだったら会話ができるんだろう”って、いきなりギリギリを攻めちゃうことがあって。しかも、当然それは測り間違えるからね」

ーー急に踏み込むんですね(笑)。

新井「そうそう。これもう殴ってるだろう、って感じですよ。で、30歳で加害者意識の塊になったんです」