街にあるものすべてが楽器に見える

藤原「同じ階の別の場所でそれぞれ探しているとき、カシューがいる方面からいい音が鳴ったりするんです。そのときは瞬間的に“んっ!? あいつ見つけたの!?”みたいな。UFOの音もそうでしたね」

藤原大輔 撮影/三浦龍司

カシュー「あのUFOのときの下敷きは、素材別・サイズ別で100種類くらいあったんですよ。それをホームセンターで全部試して。いま使っている『ブリキ板0.2mm厚』のやつがいちばんいいんです」

藤原「街を歩いていても音探しに夢中なので、街にあるものすべてが楽器に見えるんです。手すりを触って摩擦で音を鳴らしたり、ベンチを叩いてみたり。落ちているものを体に当ててみたり。だからもう、ウォーキングアーティストみたいな感覚ですよ」

ーーかっこいいですね(笑)。

カシュー「そうやっていると、もうわけがわからなくなってくるんですよね」

 芸人仲間に音を聞いてもらい、音からタイトルを導き出してもらうなどの協力を仰ぎ、その時期に100種類以上の音を作った、が、満足のいく音は両手で収まるほどだったと話す。

藤原「100個あるうちの90個くらいは、もう単に物が鳴ってるみたいな」

カシュー「そうそう。アニメや映画の効果音をつける技師がやっていることと、まったく同じ」

藤原「おまえら関係ないやん、みたいな」

カシュー「草履を手にはめて、“ジャッジャッジャッ”って床にこするとか」

藤原「そんなん誰が笑うねん!」

 試行錯誤を繰り返し生まれた音だからこそ、何年経って、何度聞いても、新鮮な笑いが込み上げてくるのだ。

■ゆんぼだんぷ
カシューナッツ
1986年9月19日生まれ。岡山県出身。
藤原大輔
1984年2月25日生まれ。兵庫県出身。
2008年にコンビ結成。2015年に『博士と助手〜細かすぎて伝わらないモノマネ選手権』(フジテレビ系)で優勝し、身体を使って音を出すネタでさまざまなメディアに出演。2017年に世界的スター発掘オーディション番組『ゴット・タレント』に出演。以後、海外10カ国以上でパフォーマンスをする。