「しょうもない未来」と思っても「まぁ、ええんちゃう」と諦めながら過ごした日々

 ただ、暴走族みたいな大きい組織に入ることは好きじゃなかったので、バイクで走るのは同級生の数人と。
 たとえ先輩でも、人の言うことを聞きたくなかったんです。2つ上の姉がいた影響もあって、先輩から呼び出されるようなこともありませんでした。

 毎日楽しいんだけど、高校を卒業した先輩たちがロクな大人になってない。当時はヤクザも社会を形成する職業の一つだったと思うけど、ヤクザはどこまでいってもヤクザ。パワーバランスが暴力で決まってしまう狭い世界を、どこか冷ややかな視線で見ていました。いま地元の同級生とは、ほとんど交流がありません。

 だんだんと「このままだと、しょうもない未来が待っているんじゃないか」と思うようになるけど、何をしていいかわからない。「まぁ、ええんちゃう」と諦めながら日々を過ごしてました。

 そんな環境で育ちましたが、お笑いはずっと好きでした。子どもの頃はテレビをつければ漫才の番組ばっかりやっていたんです。僕が一番好きになったのはチャンバラトリオさ
んでした。大人が幼稚なことをやっていることがマンガチックで面白かった。もともとは東映の大部屋俳優で、殺陣は本格的だから、「緊張と緩和」がすごいんです。