気がつけばいつの間にか訪れていた人生の分岐点。「あのときああしておけば」「もしも過去に戻れたら」――? かつての分かれ道を振り返り、板尾創路がいま思うこと。(第3回)

板尾創路 撮影/川しまゆうこ

 紳助・竜介の漫才が好きだったのもあるんですけど、『ヤングタウン』(MBSラジオ)を聴いて、島田紳助さんにシンパシーを感じて「弟子になりたい」と思ったんです。

 放送局や劇場で出待ちするより、直接訪問したほうが早いと思って、ラジオの放送が終わったタイミングで紳助さんの自宅に伺いました。個人情報の扱いが現在と違っていたし、関西の芸人はオープンな方が多いので、紳助さんがどこに住んでいるのか見当はついていたんです。

 ケーキを片手に紳助さんの家のインターホンを押して「弟子にしてほしいんです」と言うと、招き入れてくれて直接話すことができました。といっても、そんなに熱くアピールしたわけでもなく、緊張からしどろもどろになっていた記憶があります。

 紳助さんは「すでに1人おるから弟子はとれへんけど、竹中(功)さんが始めたNSCという学校があるから、そこに行ったほうがええんちゃうか。いつでもウチに遊びに来てええから」と対応してくれたんです。ビックリしました。アポなしで来た口数の少ない男なんて、普通は気持ち悪いでしょ。