「なんばグランド花月で観たダウンタウンさんの漫才は衝撃でした」

 当時のNSC卒業生(一期生)でいえば、ハイヒールさん、トミーズさんはテレビの露出が多かったんですけど、その2組に比べるとダウンタウンさんは知名度が低くて。ただ、弟子入り志願する前に、なんばグランド花月で観たダウンタウンさんの漫才は衝撃でした。お客さんが100人も入っていない昼間の公演で、最初に出てきたダウンタウンさんがしゃべる一言一言がとにかく面白い。従来の漫才とは明らかに違ったんです。それからダウンタウンさんに興味を持つようになりました。

 当時のNSCの授業はジャズダンスと声楽、殺陣があったのかな。新喜劇の作家が講義をしてエチュードをしたことも覚えてます。最初はマジメに通っていましたけど、「出ても出なくても、どっちでもええか」と、次第に出席日数は減っていきました。
ただ、殺陣の授業は好きだったんです。チャンバラトリオの山根伸介師匠が素人でも楽しめるように教えてくれました。コメディでも殺陣のシーンはありますし、唯一役に立った授業と言ってもいいんじゃないですか。

 吉本興業とのつながりを作るという意味はあったと思います。ネタ見せがあったり、エキストラで招集されたり、そこで社員に顔を覚えてもらえますから。社員の中に一人だけめっちゃ怖い顔で生徒を見定めているおっさんがいて。それが、漫才ブームが終わって東京から大阪に戻ってきた大﨑洋さんでした。まだ20代だったと思うんですけど、とにかく威圧感がすごかった。