年齢を重ねるのはおもしろい

 眞島さんは数多くの作品に携わっているが、ひとつひとつの時間を大切にするようになると、気持ちの切り替えで苦労することもなくなった。これはここ1年ほどのことだという。

眞島「特にこれといったきっかけがあったわけでもないんですが。年齢を重ねてきて、だんだんそう思うようになった感じですね。

 俳優という仕事に関しても、この職業でいられることの楽しさと同時に、いろいろな人の助けがあってやってこられたんだなという部分もあって、あと何回できるんだろう、少しでも楽しくやっていきたいなという気持ちと、いろいろありますね。気持ち的に充実していますし、毎現場、新鮮な気持ちで臨んでいます」

 最近になって至った境地。これも長くキャリアを重ねてきた賜物なのだろう。

眞島「年齢を重ねるのはおもしろいと言う方もいるじゃないですか。カズオ・イシグロさんの『日の名残り』の朗読劇で老執事を演じたのですが、人生は夕暮れが一番楽しい、とかそういう感覚ですかね。僕より年上の人から見たら、“バカ言ってんじゃないよ”って言われるかもしれませんけど。そういうのが見えてきた感じですね」

 穏やかながらも饒舌に現在の心境を語ってくれた眞島さん。新たな境地を迎え、これからの俳優人生が、より充実したものになっていくのは間違いないだろう。

眞島秀和(ましまひでかず)
1976年山形県米沢市生まれ。99年の映画『青~chong~』の主演でデビュー。その後、2007年のドラマ『海峡』(NHK)、10年のドラマ『なぜ君は絶望と闘えたのか』(WOWWOW)で準主演する一方、膨大な数の映画・ドラマで名バイプレイヤーとして活躍する。クールなイメージがありながら、18年のドラマ『おっさんずラブ』(テレビ朝日系)や、20年の『おじさんはカワイイものがお好き。』では個性的な役どころを好演。1月5日公開の映画『彼方のうた』では、メインとして出演している。

『彼方のうた』
脚本・監督 杉田協士
小川あん 中村優子 眞島秀和
2024年1月5日(金)より全国順次公開