悩みの本質は子どもも大人も同じ

 子どもたちの自由な考えを受け止め、安易に答えを出すのではなく、色々な可能性を提示していく。考えただけでも大変そうなことではあるが、小島さんはこれらの相談にどうやって対応しているのだろうか。

「後輩の芸人や編集者さんにも付き合ってもらって、色々と意見交換をするため、取材の前に何度かディスカッションをしています。その中で、解決を手助けしてくれそうなキャラクターを作り出したりしていますね。

 たとえば“授業中にどうしても喋っちゃう”みたいな子の悩みの時は、“静(しず)カニ”っていう蟹のキャラクターを考えて、これを見れば心が落ち着くから、みたいなことを提案したりしました。

 とにかくあの手この手でどうやったら届くか考えますね。でも結局、寄り添っていくというか、同じような目線になることが重要なんでしょうね。

 子どもといっても悩みの本質、たとえば人間関係だったりとかは大人と一緒なんですよね。だから自分の悩みに変換できることばっかりだなっていうのが、やってみてわかりました」

 大人であっても複雑で困ったことの多い現代社会のなかで、子どもたちは想像もできないほど色々な悩みを抱えているはずだ。そんな子どもたちと同じ目線にたって一緒に悩んであげることは、誰しもができることではない。やはり裸一貫、世間を渡ってきた小島さんならではの胆力がそうさせるのではないだろうか。

「そうですね、自分にとっての一番の変化は何かと問われれば、やっぱり“裸になったこと”ですからね。実はあのネタは、昔作った“怖い話をしながら海パン一丁になる”というネタと、“そんなの関係ねえ”のネタをくっつけたものなんです。

 とある番組のオーディションでネタ見せをする機会があって、“そんなの関係ねえ”だけだったら尺が足りないから、なんか前に足さなきゃって思って、元々1分ネタでやっていた“怖い話をしながら海パン一丁になる”っていうネタを足したんですよ。そうしたら、そのネタを見たディレクターさんに“前半いらない、後半だけで”って言われて、あの形が完成したんですよね」

 裸芸で世間に名前を知られた小島さん。奇異な目で見られたこともあったであろう彼は、今ではコメンテーターとして出演したTVで様々な問題に対して意見を発信し、子供の悩みに寄り添うことでその親たちにも多くの共感を得る、“メディアや社会にとってなくてはならない人”として存在感を発揮している。

 そんな小島さんに、今もっとも願っていることを聞いてみると、「それはもう、この本が少しでも多く売れることですね(笑)。けっこう色々と本を出させてもらってるんですけど、今まで重版したことがないんですよ」と、正直な想いを吐露してくれた。