ボーカルの浜崎容子さんが歌と出会った意外なきっかけ

 松永さん、おおくぼさんはバンド活動を早くから始めていたが、浜崎さんが歌と出会ったのは思わぬ出会いがきっかけだった。

浜崎容子(以下、浜崎)「母がボランティアで書道の先生をしていたのですが、近所のカルチャースクールの生徒さんたちが発表会や展示をするから見に来てって言われた。私はその発表会で食べられる茶菓子目当てで行ったんですが、シャンソン教室の先生が歌われていたんです」

 まさにシャンソンとの運命の出会いともいえる瞬間だが、その後の浜崎さんの才能を予見していたかのように、先生から思いもよらぬ一言が飛び出した。

浜崎「シャンソンの先生に突然、“あなた、歌を歌わない?”って言われたんです。中学を卒業するころにはずっと習っていたバレエを辞めていたんですが、ある日ご飯を食べていた時に、“私、歌手になろう”ってひらめいたんです。

 それを家族に伝えたら、ひっくり返るほど驚かれた。歌声も聞かせたことがなかったし。でも“音楽の道を選んで、歌手になる”って信じてやまなかった。だから先生からシャンソンを勧められたときも、“やります”ってすぐ返事しました。たまたま出会ったのがシャンソンの先生でしたが、きっかけはジャズでもなんでもよかったのかもしれません」

 シャンソンを習い始めた浜崎さんはめきめきと頭角を現し、10代のころからシャンソン歌手としてステージに立っていた。

浜崎「知れば知るほど、シャンソンっていいなってハマっていきました。“将来はシャンソンのお教室の先生になるのかな”って考えていたのに、気づいたらアーバンギャルドに加入していましたね(笑)」

浜崎容子 撮影/冨田望

 テーブルの上にあった砂時計を手に取りながら語った浜崎さん。松永さんが「バンドって非常にクロスオーバーなカルチャーなんです」と言った通り、アーバンギャルドのメンバーがもつさまざまな背景がバンドに深みをもたらしているのだろう。

アーバンギャルド(あーばんぎゃるど)
浜崎容子(Vocal)、松永天馬 (Vocal)、おおくぼけい (Keyboard)からなるテクノポップバンド。00年代に松永により結成。2007年に浜崎(Vocal)、2015年におおくぼ(Keyboard)が加入。結成15周年となる2023年には中野サンプラザで「アーバンギャルドのディストピア2023 SOTSUGYOSIKI」を開催。2024年2月28日にはニューアルバム『メトロスペクティブ』を発売。

■アーバンギャルド / メトロスペクティブ
(URBANGARDE / METROSPECTIVE
初回豪華盤(CD+DVD)FBAC-207 ¥6600(税込)
通常盤(CD)FBAC-206 ¥3300(税込)
2024年2月28日(水)発売 FABTONE
既発曲「いちご黒書」「サンタクロースビジネス」に新曲10曲を加えた全12曲。アルバムは通常盤と、DVDが付属する初回豪華盤の2形態でリリース。

■アーバンギャルド presents
メトロスペクティブツアー 〜夢見るよりも夢になれ〜
ニューアルバム『メトロスペクティブ』リリースツアー。
東名阪バンド公演。さらに東京はダンサー、映像などを加えたホール特別公演!

3月9日(土)愛知・名古屋UPSET 開場18:30 開演19:00
3月10日(日)大阪・心斎橋VARON 開場18:30 開演19:00
3月17日(日)東京・神田明神ホール 開場17:15 開演18:00(特別公演)