アルバムのリード曲『メトロイメライ』の作曲は悩んだ

おおくぼけい、松永天馬、浜崎容子 撮影/冨田望

浜崎「今回のアルバムはね……、言っていいのかな。ほとんど関わっていない」

松永「ボーカルは歌っているから、関わっていないってことはないけれど」

浜崎「なぜかというと、疲れてしまったんですよね。ずっとアーバンギャルドの巫女でいるのに疲れてしまった。

 やりたいことはメンズに任せておこうって考えていたのに、“浜崎さん。1曲書いてみませんか”って言われて、書いたら“次も書いてくれませんか”ってなったんです。別のリード曲も書いたのにボツにされたんだよね」

おおくぼ「メトロイメライは3人で作曲したじゃん」

浜崎「そうだったね」

松永「リード曲のメトロイメライはずっと書けなくて、僕もけい様もお互いに曲を出し合ったけれど、ピンとこなかった。ここまで悩んだことはあまりなかったです。データ上のやりとりで、それぞれがサビを書いたりした。そうしたらどんどん曲の形が変わっていったんですよ」

浜崎「俺がまとめた!」

松永「まとまりましたね」

浜崎「それまで制作には全然参加していなかったんですよ。LINEのグループチャットが何百件溜ろうと、絶対に開かないという強い意志を持っていた。でも中身を見たときに、ファーストインプレッションで、“これはダメじゃないか”って感じた。そこからいきなり“これは直したほうがいい”って会話に入ったら、天馬が激怒していたんですよ」

松永「怒りましたね」

浜崎「“はぁ? 今まで何も言ってこなかったくせに”みたいな態度だった。それはあえて触れてこなかったのに」

おおくぼ「作業に関わってこなかったリスクに関しては、元々あったんですよね。でも彼女がパっと直してくれたものが、全体的な構成を作る上でまとめになりました」

浜崎「あまり深く関わりすぎると、人間壊れますよ。適度な距離感で、これからも巫女としてやっていけたらと思います」

「病気のみなさん、こんにちは/こんばんは」というフレーズで挨拶を始めるアーバンギャルド。いっけんネガティブな物事をテクノポップの音楽とエンターテインメントに昇華していく手腕は、今や現代における救いなのかもしれない。

アーバンギャルド(あーばんぎゃるど)
浜崎容子(Vocal)、松永天馬 (Vocal)、おおくぼけい (Keyboard)からなるテクノポップバンド。00年代に松永により結成。2007年に浜崎(Vocal)、2015年におおくぼ(Keyboard)が加入。結成15周年となる2023年には中野サンプラザで「アーバンギャルドのディストピア2023 SOTSUGYOSIKI」を開催。2024年2月28日にはニューアルバム『メトロスペクティブ』を発売。

■アーバンギャルド / メトロスペクティブ
(URBANGARDE / METROSPECTIVE
初回豪華盤(CD+DVD)FBAC-207 ¥6600(税込)
通常盤(CD)FBAC-206 ¥3300(税込)
2024年2月28日(水)発売 FABTONE
既発曲「いちご黒書」「サンタクロースビジネス」に新曲10曲を加えた全12曲。アルバムは通常盤と、DVDが付属する初回豪華盤の2形態でリリース。

■アーバンギャルド presents
メトロスペクティブツアー 〜夢見るよりも夢になれ〜
ニューアルバム『メトロスペクティブ』リリースツアー。
東名阪バンド公演。さらに東京はダンサー、映像などを加えたホール特別公演!

3月9日(土)愛知・名古屋UPSET 開場18:30 開演19:00
3月10日(日)大阪・心斎橋VARON 開場18:30 開演19:00
3月17日(日)東京・神田明神ホール 開場17:15 開演18:00(特別公演)