裕次郎さんとのキスシーンに「溺れちゃう」
ただ、海の中でのキスシーンは、背の高い裕次郎さんが相手なので、溺れちゃうんじゃないかと……。もう裕次郎さんに必死でしがみついていました。
それと、標準語を話すのに苦労しましたね。ふだん関西弁の私は、どうしても早口になっちゃうんです。
でも、裕次郎さんが「テンポがあっていいよ」と励ましてくださいました。
撮影中は、ずっと裕次郎さんのご自宅に泊めていただきました。
奥様のマコさん(石原まき子=芸名・北原三枝)が、“親元を離れ、初めての映画に出るんだから、そのほうがいいでしょう”と言ってくださったんです。
撮影所に行くときは、いつも裕次郎さんと一緒。ドアが上に開くタイプのスポーツカーに乗せてもらいました。今思えば、裕次郎さんと過ごした時間は夢のようです。
その後は多忙を極め、16歳のときには正月放送のテレビ番組16本に出演。当時の最多出演記録を打ち立てた。一方で話題の映画にも次々と出演した。
車での移動中に睡眠をとるような生活が続きましたが、当時はまだ十代。全然、平気でした。
この頃は海外の仕事も多く、好奇心旺盛なので楽しかったですね。たとえば、橋幸夫さんの妹役を演じた映画『シンガポールの夜は更けて』では現地に行っての撮影だったし、テレビの『ヤング720』(TBS系)の司会をしたときは、取材でイタリアにも行きました。