ヴェネツィア音楽祭で熱唱「イタリア永住の誘い」
その最中、スタッフとレストランで食事をしていたらステキな男性が来て、「チャオ、バンビーナ」なんて笑顔で話しかけてきたんです。それがイタリアの大手レコード会社の社長さん。
私に一目惚れしちゃったみたいな様子で「あなたは日本の女優ですか。歌手ですか。ぜひ、ヴェネツィア音楽祭に出てください」と言うわけです。帰国後、西野先生に相談したら「それはいい話だね」ということになり、イタリア語のレッスンも受けてレコーディングに臨みました。
その後、ヴェネツィア音楽祭で歌ったら、反響が大きくて、ブラジルやチリの音楽祭にも招待されました。レコード会社の社長さんからは「ヨーロッパで大々的に売り出したいから、イタリアに永住してくれないか」と誘われました。でも、日本でのレギュラーがたくさんあったし、結局、お断りしました。もし、その申し出を受けていたら、違う人生が待っていたかもしれませんね。
22歳のとき、大きな転機が訪れる。上村一夫の劇画を原作とした映画『同棲時代』に主演したのだ。大胆なベッドシーンに挑み、アイドルから本格的な女優へと脱皮した由美の、日本人離れした美しい肢体をとらえた宣伝ポスターも大きな話題となった。
映画の舞台あいさつに行って、ビックリしました。劇場の周りは渦を巻くように行列ができているし、館内はドアが閉まらないくらい人でギッシリ。「同棲」という言葉が流行して、映画は社会現象にもなりました。